３．風水戦争
香港にいる風水師だけで、三千人ともそれ以上とも言われています。そして建物を建てたり、何か行事を行う場合は、必ず風水師の意見を聞いて行うそうです。少し前、新聞に香港風水戦争と言う見出しがのっていました。
これはイギリス系資本の香港上海銀行と中国系資本の中国銀行とがビル建設にあたって風水上の争いを展開したと言うものです。両行ともライバル同士なのですが、香港上海銀行はイギリス人の建築家でノーマンフォスター、中国銀行は中国系アメリカ人のI・M・ペイと言う建築家が設計しました。
両者とも世界を代表する有名な建築家です。そして二人にはそれぞれ一流の風水師がついて、その意見を取り入れながら設計したそうです。先に建てられた香港上海銀行は南にある大平山（ビクトリア・ピーク）からの良質な気を取り込むような設計になっていました。
一方、後で建てられた中国銀行は、その気を取り込む道筋を遮断するかのように、楔のような形をした建物の角を向けたのでした。これは当時香港で相当話題になった話です。
このように鋭利な形の物を向けたりすることを、風水では尖角照射と言って忌み嫌います。
それに対して八卦鏡（はっかきょう）を掲げることによって対抗手段とします。
八卦鏡とは八角形の盤の真中に凸面鏡を埋め込んだ物です。これによって尖角衝射が発する邪気を跳ね返そうと言う物です。先ほどの両銀行の玄関にも大きな八卦鏡が掛けられています。