風水入門             

1.風水の歴史

現在、私は学校で19歳から24,5歳ぐらいの学生に建築を教えているのですが、あるとき、ふっと思いついて「君達、風水って知ってる?」と聞いたところ、ほとんどの学生が知っていたし、大いに興味があるとのことでした。

私が学生のころは風水の、ふ、の字も知りませんでした。今の学生達は生まれたときからテレビゲームで育った世代なのにこれはちょっと意外でした。逆に、文明が進めば進むほど精神的な世界に惹かれるのかもしれませんね。

ある学生に、最近彼女とうまく行かなくなったり、父親が病気になったりしたのは、引越した方向が悪かったのではないか、と聞いて来られた時には思わず苦笑してしまいました。

さて風水ですが、元々は古代中国に起源を持つ思想です。
よく使われる言葉ですが、中国四千年の歴史があります。しかし風水と言う言葉が歴史上に登場するのはAD三世紀、いわゆる三国志の時代です。

そして日本に入ってきたのは大和から奈良時代にかけてといわれております。遣隋使や遣唐使が中国に仏教の勉強に行き、その時、技術として風水を日本に持ち帰ったようです。

しかし、その頃の風水は皇室とか一部貴族のためだけの学問であり、門外不出の絶対秘密事項だったようで、一般庶民はその存在すら知らなかったようです。平安時代も同様な状態が続きました。

ちょうど今から千年前、京の都で風水を司るスーパースターが居りました。名を安部清明(あべのせいめい)と申します。最近若い女性の間でちょっとしたブームになっております。彼らは大変なエリートでありまして、陰陽師(おんみようじ)と呼ばれておりました。

安部清明につきましては、いつか機会がありましたらお話したいと思います。
陰陽師達は陰陽寮という所に所属していました。陰陽寮とは現在の科学技術庁のような物だったようです。つまり彼らはテクノクラートだったと言えるかもしれません。

そんな時代を過ぎまして、江戸時代に入って、やっと風水が一般庶民のものとなりました。
しかし風水と言う言葉ではなく、家相として定着したようです。そして現代に至った訳ですが、沖縄ではそのまま風水と言う言葉のまま残ったようです。